日向くんにテレパシー






「………」
「………」
「………」
「………」
「………あのさ、飴凪。さっきから何してるんだ?」
「練習さ」
「木陰に隠れて俺を睨む練習か?」
「いや、テレパシーの練習」
「どうしてそうなった」
「いや、狛枝くんが『なんか飴凪さんってテレパシーとか使えそうな顔だよね!』って言ってたから実験をね」
「そ、そうか………」



「………」
「………」
「………」
「………」
「………通じた?」
「いや全然」
「なるほど。距離の問題か」
「距離の問題とかそういう以前のものだと思うぞ」
「キミには立派なアホ毛がついていると言うのに………」
「言っておくがこれはアンテナじゃないからな」
「よし。この距離ならキミもきっと受信してくれるだろう」
「う、お?」
「隣を失礼」
「………ちょっと近すぎじゃないか?」
「テレパシー初心者なので」



「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………日向くんとらぶらぶしたい」
「は!?」
「うん?」
「い、今お前、ら、らぶらぶって………」
「おお、通じた。これで私は超高校級のテレパスか」
「思いっきり口に出してたけどな!」
「あれ? そうだった?」
「そ、そうだった」
「集中するあまりつい口走ったのかな」



「………」
「………」
「………」
「………」
「日向くん、私とらぶらぶしてください」
「テレパシーはどうしたんだよ」
「言葉にした方が早いかなと」
「………最初からそう言えばいいんだよ」